こうすれば 解ける
食塩水の問題


解き方の具体例


 
食塩水の問題 と聞いただけで 「あーあ、やだなあ!」とため息をつく人がいるかも知れません。 しかし安心してください。 これからお話しすることを忠実に守っていけば、比較的簡単に方程式が立てられるようになります。 

実際にやってみた人からのメールです。


◆この講座の目次を書いておきます。

  1. %(パーセント)に対する恐怖心をなくそう!
  2. 食塩水の絵を描こう!
  3. 絵を見みて、式を作ろう!
  4. 問題を解いてみよう!

このレッスンをやるのに必要な時間は 人によって違いますが、
  • 早い人で 1時間30分前後 
  • 遅い人で 3時間前後
途中で休憩してもOKです。

たったこれだけの時間で 食塩水の問題 が自信を持って解けるようになるなら、やってみる価値はあると思いませんか?・・・いかがですか?・・・やってみますか?

◆ではノートと筆記用具を用意して、さっそく始めましょう。

※尚、この講座は お助け講座集 のフリー(無料)講座ですが、著作権は存在しますので、コピーはご遠慮ください。(著作権者:荒木伸一)

※このレッスンは、2019年9月にリニューアルしました。 それに伴い、リンクミスや、数字の間違いなど、初期不良があるかもしれません。気がついた方は是非お知らせ下さい。 →こちらへお願いします。
 なお、旧バージョンはこちらです。

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レッスン 1

%(パーセント)に対する
恐怖心をなくそう!


 ●このレッスンでは %について余計な恐怖心を持たなくていいように 「%についての心得」 を書いておきます。 もしあなたが

% = むずかしいもの

と考えているとしたら、それは間違いです。

% = 〜倍 と同じもの  

と考えてください。 これが「%の心得」です。

●例えば 300円の 2倍はいくら? といわれたらあなたはどのように計算しますか?  当然 次のようにやりますよね。

300円 × 2 

でしょ? では 300円の5%はいくら? といわれたらどうですか?
実は % になっても 全く同じ なのです。 いいですか? たとえば・・・
▲▽


 ●方程式で食塩水の問題を解くときに必要な知識は、たったこれだけです。 では、確認のために練習をやってみましょう。

●ノートを用意して下さい。 そして次の問題をやってみて下さい。 わからない問題はとばして構いませんが、答合わせの時にしっかり確認してください。

答合わせは【練習】ごとに(@〜Dが終わったら)やります。  では始めましょう。

【練習1】
@ 3 % は何倍のこと?
A 34 % は何倍のこと?
B 120 % は何倍のこと?
C a % は何倍のこと?
D (a+b) % は何倍のこと?

できましたか? では答合わせをして下さい。 

答はこちら


【練習2】次の問題の「式」と「答」を書きなさい。
@ 200 円 の 10 % はいくら?
A 300 g の 8 % は何g?
B 150 人 の 120 % は何人?
C 150 人 の a % は何人?
D y g の x % は何g?

答はこちら


●答合わせまで終わりましたか? レッスン1 はこれで終わりです。 繰り返しますが、中学の方程式で「食塩水の問題」を解くときに必要になる 「%の知識」 はこれだけです。 これだけをしっかり覚えておいてください。



レッスン 2

食塩水の絵を描こう!



 ●ここでは、食塩水の絵(図)を描く練習をします。 慣れれば1分もかかりませんから面倒くさがらずにやりましょう。 図を描くときのポイントは、次の4つです。
▲▽

 ●ではさっそく練習をしてもらいます。 まず例題を見てもらい、 それを見ながら実際に図を描いてもらいます。  例題は7つあり、パターンごとに次のように並んでいます。 覚えなければならないのは (1)〜(5)の5つだけです。
  • 準備運動 A
  • 準備運動 B
  • (1) 食塩水に水を加える 
  • (2) 食塩水から水を蒸発させる 
  • (3) 食塩水に塩を加える 
  • (4) 2種類の食塩水を混ぜる 
  • (5) 食塩水の一部分を抜き取る 
では例題を見ながら、作図練習をやってもらいましょう。


準備運動 A B


▲▽



(1) 食塩水に 水を加える 

10 % の食塩水 200 g に水を x g 加えると 4 % の食塩水になる。


▲▽



●では、ここでまず準備運動 A 、B と (1)のパターン 3つについて作図練習をしてもらいます。 わからなくなったら【例題】の絵を参考にして構いませんが、必ず自分の手で、ノートに実際に絵を描いてください。 (頭の中だけで考えたりしないように!) では、始めましょう。


【練習3】 次のことに注意して、下の@〜Bを図にしなさい。
  • 与えられた条件(数字など)は全て書き込む
  • わからない数量は  などに おいておく
  • 塩の量を計算する式を書いておく

@ 7%の食塩水500gを作った。

A a%の食塩水が300gある。

B 4%の食塩水200gに水を y g 加えたら2%の食塩水になった。

答はこちら


●答合わせまで終わったら、次の例題に進みましょう。

 

(2) 食塩水から 水を蒸発させる 

  
10% の食塩水 200g から水を xg 蒸発させると 12% の食塩水になる。

▲▽


 

(3) 食塩水に 塩を加える 


4%の食塩水に 40g の食塩を加えると、 10%の食塩水になった。 4%の食塩水は何gあったのか?

4 %の食塩水が x g あったとして

▲▽


 

●また、ここで練習をします。

【練習3】 下の注意書きを守って C、Dの問題文を図にしなさい。
  • わからないもの(求めるもの)は x や y とおいて書き込む
  • 塩の量を計算する式を書いておく

C 4 %の食塩水300gから水を x g 蒸発させたら 6%の食塩水になった。

D ある濃度の食塩水 300g に、20gの食塩を加えると 10%の食塩水になった。

答はこちら


●答合わせまで終わりましたか? それでは次に移りましょう。


 

(4) 2種類の食塩水を混ぜる 


●次の例題は、1年生と2、3年生(連立方程式を習った人)とでは、図の描き方が少し違います。 ただし、2、3年生も1年生用の図の描き方を見た上で、連立用の図の描き方を見てみましょう。

10%の食塩水と5%の食塩水を混ぜて、8%の食塩水を600g作りたい。  それぞれの食塩水を何gずつ用意すればよいか?

※ 中学1年用 (1元方程式用)

10%の食塩水を x g とすると、    
5%の食塩水は( 600− x )g だから


▲▽


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 10%の食塩水と5%の食塩水を混ぜて、8%の食塩水を600g作りたい。  それぞれの食塩水を何gずつ用意すればよいか?
 ※ 中学2年用 (連立方程式用)

10 %のを x g 、 5%のを y g とすると


▲▽




(5) 食塩水から 一部分を抜き取る 

10%の食塩水 400g がある。 これから xg の食塩水を取りのぞき、 かわりに xg の水を加えると 濃度は6%になった。

▲▽




●ではまた、作図練習です。

【練習3】 次のことに注意して、下のE、Fを図にしなさい。
  • 与えられた条件(数字など)は全て書き込む
  • わからないもの(求めるもの)も x、(y)と おいて書き込む
  • 塩の量を計算する式を書いておく

E 8%の食塩水と3%の食塩水を混ぜたら 6%の食塩水500gができた。 (下の注意書きを守って)
  • 1年生は 8%の食塩水を xg として図を描くこと。
  • 2年生は 8%の食塩水を xg、3%のを yg として図を描くこと。
  • 3年以上は 上記2つのパターンを両方とも描いてみること。

F 6%の食塩水 xg がある。 このうち 200g を抜きとり、かわりに 200g の水を加えたら 4%の食塩水になった。

答はこちら


●さて、答合わせまで終わりましたか? これでレッスン2は終わりです。 理解できなかったところはもう一度見直してから、レッスン3に進みましょう。




レッスン3

絵を見て 式を作ろう!




 ●レッスン3では、いよいよ式を作る作業をやります。 と言っても実は、 レッスン2までに ほとんど式は完成しているのです。 あとは「=(イコール)」をつけるだけなのです。 そのことをこれから説明します。

●「食塩水の問題」を解くとき、一番のポイントになるのは、「食塩の量は同じ」ということです。 つまり、
 食塩の量 = 食塩の量
 という等式(方程式)を作ればよいのです。 これが、食塩水の問題(基礎編)を解くときの最大のポイントといえます。

●実際の例を見てみましょう。 レッスン2で使った例題の(1)〜(5)を思い出してください。



(1) 10%の食塩水 200g に水を xg 加えると 4% の食塩水になるという。 x を求めよ。

※図と、食塩の式は下のようなものでしたね。

▲▽

ここで注意してほしいのは、
(左の塩の量) = (右の塩の量) 
 と言うことです。   ( 水の量や、濃度は変化していますが、塩の量は同じでしょ? )  つまり、式で表すと、

▲▽

これが、この問題の方程式です。 この方程式を解くと
   x = 300
と出てきますから、 答は x = 300 で終わり。 



 (2) 10% の食塩水 200g から水を蒸発させると 12% の食塩水になったという。 蒸発させた水の量を求めよ。  

という問題だったら、 とりあえず x g の水を蒸発させるとして、図は下のようなものでした。

▲▽


 ここでも同じように、

 (左の塩の量) = (右の塩の量)  

ですから、

▲▽




(3) 4%の食塩水に 40g の食塩を加えると、 10%の食塩水になった。 もともと4%の食塩水は何gあったのか?  

 4%の食塩水を x g として、

▲▽


  これも同様に 左の塩 = 右の塩  だから

▲▽

  これを解いて x = 600     したがって答は、 
4%の食塩水は 600 g ということになります。



(4) 10%の食塩水と5%の食塩水を混ぜて、8%の食塩水を600g作りたい。  それぞれの食塩水を何gずつ用意すればよいか?

※これも、図と式は下のようでしたね。

●中1,中3(1元方程式)用

▲▽


 ここでは

10%の塩の量)+(5%の塩の量)=(8%塩の量

と考えて、方程式は


▲▽


 これを解くと x = 360 となります。  よって、

 10%のを 360 g,  5%のを (600−360)=240 g

これが答ということになります。

・・・・・・・・・・・・・・・・

●中2,中3(連立方程式)用

10 % のを x g ,  5 % のを y g とする


▲▽


 ここでは、

(10%の塩の量)+(5%の塩の量)=(8%塩の量)

と考え、 さらに 

(塩水の量) + (塩水の量) = (塩水の量)

ということから、次の2つの等式が書けます。


▲▽

これを連立して解くと x = 360 ,  y = 240  となります。  よって

 10%のを 360g ,5%のを 240g

これが答となります。



(5) 10%の食塩水400g がある。 これから xg の食塩水を取りのぞき、 かわりに xg の水を加えると 濃度は6%になった。

▲▽

 これも同様に  塩の量 = 塩の量  という等式を作れば、方程式の出来上がりです。


●さあ、理解できましたか? ちょっとごちゃごちゃしてきましたが、要するに、
  1. 食塩水の図を描き
  2. 食塩の量を求める式を考え
  3. (塩の量)=(塩の量)となるような式を作る
という手順で、方程式を立てればよいということです。 しかも、覚えなければならないパターンは5つしかありません。 つまり
  • 水を加える
  • 水を蒸発させる
  • 塩を加える
  • 2種類の食塩水を混ぜる
  • 一部分を抜きとる
ということでした。 では、練習問題をやってもらいましょう。


【練習4】 次の文章題は、【練習3】でやってもらった@〜Fの問題のうち、(1)〜(5)の5パターンに当たる、B〜Fを、方程式の文章題としてアレンジしたものです。 あなたのノートに描いてある【練習3】のB〜Fの図を見ながら方程式を立て、計算し、答を出してください。 (ただし、以前にやったとき、図の描き方が間違っていたものは、改めて描き直してください。)

B 4%の食塩水200gに水を加えたら2%の食塩水になった。 何gの水を加えたのか? 水の量を y g として解きなさい。


C 4 %の食塩水300gから水を蒸発させたら 6%の食塩水になった。 蒸発させた水の量を求めよ。


D ある濃度の食塩水 300g に、20gの食塩を加えると 10%の食塩水になった。 初めにあった食塩水の濃度は何%か。

B C D の答はこちら



E 8%の食塩水と3%の食塩水を混ぜたら 6%の食塩水500gができた。 それぞれ何 g ずつの食塩水があったのか? (下の注意書きを守って)
  • 1年生は  x の方程式(1元方程式)を立てること
  • 2年生は 連立方程式を立てること
  • 3年以上は 上記2つのパターンを両方とも立てること
F 6%の食塩水がある。 この食塩水から 200g を抜きとり、かわりに 200g の水を加えたら 4%の食塩水になった。6%の食塩水は始め 何g あったのか。

E F の答はこちら


●いかがですか? 方程式を立てる作業はそれほど難しくないでしょ? 図さえ描いてあればね!  つまり文章題を解く作業というのは、式を立てることがメインではなくて、「図を描くことがメイン」だと考えてください。 これは「食塩水の問題」に限ったことではありません。

●さあ、それではレッスン3はこれで終わります。 疲れた人はちょっとお休みを取りましょう。 「まだまだ大丈夫!」という人は、続けてレッスン4に進んでください。

注意中学3年生の皆さんへ
中3になると、2次方程式の文章題 として食塩水の問題が出る場合がたまにあります。 このとき、(5)食塩水の一部を抜き取る作業 を2回繰り返すことが多いのですが、この場合は食塩の量を計算する式の立て方少し変える必要があります。 (作図方法は同じです。)  このことについては、 基礎編が終わってから、応用編として解説を作ってありますので、 まずは基礎編を終了して下さい。




レッスン 4
問題を解いてみよう!




 ●いよいよ最後のレッスンになりました。 ここでは自力で問題を解いてもらいます。 繰り返しになりますが、 覚えなければならないパターンはわずか5つでしたね。 

(1) 水を加える
(2) 水を蒸発させる
(3) 塩を加える

(4) 2種類の食塩水を混ぜる
(5) 一部分を抜き取る

総復習の意味で、その5つのパターンの図の描き方と方程式の作り方を、下にまとめておきますから、ざっと目を通して、【練習5】に進んでください。


(1) 水を加える 


▲▽

 
(2) 水を蒸発させる 

▲▽


 
(3) 塩を加える 

▲▽



(4) 2種類の食塩水を混ぜる

▲▽




 
(5) 一部分を抜き取る

▲▽




【練習5】 次の問題を読み、図を描き、式をたて、計算し、答を出しなさい。

答はこちら


@ 濃度 12% の食塩水に水を 200 g 加えて、8%の食塩水にしたい。 12%の食塩水を何g用意すればよいか?


A 8%の食塩水Aと 15%の食塩水Bを混ぜて、10%の食塩水を700g作りたい。 A,Bをそれぞれ何gずつ混ぜればよいか?


B 8%の食塩水150gがある。 これを熱して水分を蒸発させ、10%の食塩水を作りたい。 水を何g蒸発させればよいか? 

C 銅を含む合金が2種類ある。 Aは90%、Bは60%の銅を含んでいる。 いま、A、Bを溶かし合わせて 70%の銅を含む合金を45kg作りたい。 A,B各々何kgずつ溶かせばよいか?

答はこちら


D 濃度5.4%の食塩水に50gの食塩を混ぜると、濃度は14%になった。 5.4%の食塩水はもともと何gあったのか?

E 濃度10%のアルコール水溶液200gが入った容器がある。 この容器から x g だけくみ出して、かわりに 2x g の水をこの容器に加えたところ、6%のアルコール水溶液になった。 xの値を求めよ。 
(ヒント:アルコールを塩の代わりとして沈殿させた図を描く)

F (中2,中3用) A,B2種類の食塩水がある。 Aを200g、Bを400g混ぜると6%の食塩水ができ、 Aを300g、Bを300g混ぜると5%の食塩水ができる。 A,Bの濃度は各々いくらか?

答はこちら


※ 以上の問題が自力で解ければ、公立中学の定期テストと公立高校の入試問題は、ほとんど解けると思います。 但し、中には次の問題のように、やや面倒な問題も存在しますので、安心は禁物ですが、きちっと図を描いて式を立てれば必ず解けますから、余裕のある人はやってみて下さい。

G(愛知県の入試問題)A、B2種類の食塩水が400gずつある。食塩水Aから200g、食塩水Bから100gをとって混ぜたら8%の食塩水ができた。 また、食塩水Bの残りの300gに20gの食塩を混ぜたら、 食塩水Aと同じ濃度になった。 元の食塩水A,Bの濃度はそれぞれ何%か。

H(香川県の入試問題)容器A、Bに、異なる濃度の食塩水が Aには400g、Bには300g入っている。 A,Bからそれぞれ100gずつ取り出し、よく混ぜ合わせると、5%の食塩水になった。 
  次にA,Bに残っている食塩水をすべて混ぜ合わせ、100gだけ水を蒸発させると、 5.5%の食塩水になった。 
   はじめ容器A,Bに入っていた食塩水の濃度をそれぞれ x %、 y % とするとき、 x、y の値を求めよ。

答はこちら




●これで「食塩水の問題の解き方(基礎編)」のレッスンは終わりです。 もうあなたは、教科書と問題集(標準レベル)にのっている中学2年までの「食塩水の問題」はほとんど解けるようになっていると思います。 ウソだと思ったら、実際にやってみて下さい。 

●また中学3年生(高校受験生)のために、「2次方程式を使って解く食塩水の問題」の解き方を 応用編として用意してあります。 基礎編と図の描き方は全く同じです。 ただ、図が1段ではなく、2段、3段になったり、式の作り方を少し工夫する必要が出てきます。 必要な人はどんどんチャレンジしてみてください。  → 応用編へ

・・・・ お疲れさまでした ・・・

     


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