食塩水の問題の解き方
(基礎〜標準編)





◆「食塩水の問題」と聞いただけで 「あーあ、やだなあ!」とため息をつく人がいるかも知れません。しかし安心してください。 これからお話しすることを忠実に守っていけば、比較的簡単に方程式が立てられるようになります。 

実際にやってみた人からのメールです。



◆この講座の内容(レッスンのタイトル)をまとめて書いておきます。
  • レッスン1   %(パーセント)に対する恐怖心をなくそう!
  • レッスン2   食塩水の絵を描こう!
  • レッスン3   絵を見みて、式を作ろう!
  • レッスン4   問題を解いてみよう!
このレッスンをやるのに必要な時間は 人によって違いますが、
  • 速い人で 1時間30分前後 (途中で休憩してもOK)
  • 遅い人で 3時間前後 (2,3日に分けてやってもOK)
たったこれだけの時間で「食塩水の問題」が自信を持って解けるようになるなら、やってみる価値はあると思いませんか?・・・いかがですか?・・・やってみますか?


◆ではノートと筆記用具を用意して、さっそく始めましょう。
スマホの方は横画面で見てくださいね。


※尚、この講座は お助け講座集 のフリー(無料)講座ですが、著作権は放棄していません。


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レッスン1

%(パーセント)に対する恐怖心をなくそう!




●このレッスンでは %について余計な恐怖心を持たなくていいように 「%についての心得」 を書いておきます。 もしあなたが

     %(パーセント) = むずかしいもの

と考えているとしたら、それは間違いです。

     %(パーセント) = 〜倍 と同じもの

と考えてください。 これが「%の心得」です。


●例えば 300円の 2倍はいくら? といわれたらあなたはどのように計算しますか?  当然 次のようにやりますよね。

      300円 × 2  

でしょ? では 300円の5%はいくら? といわれたらどうですか?
実は %になっても全く同じなのです。 いいですか? たとえば・・・




●方程式で食塩水の問題を解くときに必要な知識は、たったこれだけです。 では、確認のために練習をやってみましょう。

●ノートを用意して下さい。 そして次の問題をやってみて下さい。 
わからない問題はとばして構いませんが、答合わせの時にしっかり確認してください。

答合わせは【練習】ごとに(@〜Dが終わったら)やります。 
では始めましょう。

【練習1】
@3%は何倍のこと?
A34%は何倍のこと?
B120%は何倍のこと?
Ca%は何倍のこと?
D(a+b)%は何倍のこと?


できましたか? では答合わせをして下さい。 

答はこちら



【練習2】次の問題の「式」と「答」を書きなさい。
@200円の10%はいくら?
A300gの8%は何g?
B150人の120%は何人?
C150人のa%は何人?
Dygのx%は何g?

答はこちら



●答合わせまで終わりましたか? レッスン1 はこれで終わりです。
繰り返しますが、中学の方程式で「食塩水の問題」を解くときに必要になる 「%の知識」 はこれだけです。 これだけをしっかり覚えておいてください。






レッスン2

食塩水の絵を描こう!





●ここでは、食塩水の絵(図)を描く練習をします。 慣れれば1分もかかりませんから面倒くさがらずにやりましょう。 図を描くときのポイントは、次の4つです。




●ではさっそく練習をしてもらいます。 まず例題を見てもらい、 それを見ながら実際に図を描いてもらいます。  例題は7つあり、パターンごとに次のように並んでいます。 覚えなければならないのは B〜Fの5つだけです。
  • @ (準備運動)
  • A (準備運動)
  • B 食塩水に 水を加える パターン
  • C 食塩水から 水を蒸発させる パターン
  • D 食塩水に 塩を加える パターン
  • E 2種類の食塩水を混ぜる パターン
  • F 食塩水の 一部分を抜き取る パターン
では例題を見ながら、作図練習をやってもらいましょう。

準備運動





食塩水に 水を加える パターン
B 10% の食塩水 200g に水を xg 加えると 4% の食塩水になる。






●では、ここでまず例題@、A、Bのパターンについて作図練習をしてもらいます。わからなくなったら【例題】の絵を参考にして構いませんが、必ず自分の手で、ノートに実際に絵を描いてください。(頭の中だけで考えたりしないように!) では、始めましょう。


【練習3】 次のことに注意して、下の@〜Bを図にしなさい。
  • 与えられた条件(数字など)は全て書き込む
  • 塩の量を計算する式を書いておく

@ 7%の食塩水500gを作った。

A a%の食塩水が300gある。

B 4%の食塩水200gに水を y g 加えたら2%の食塩水になった。

答はこちら


●答合わせまで終わったら、次の例題に進みましょう。



食塩水から 水を蒸発させる パターン
C 10% の食塩水 200g から水を xg 蒸発させると 12% の食塩水になる。






食塩水に 塩を加える パターン
D 4%の食塩水に 40g の食塩を加えると、 10%の食塩水になった。 4%の食塩水は何gあったのか?

※4%の食塩水が xg あったとして、





●また、ここで練習をします。

【練習3】 下の注意書きを守って C、Dの問題文を図にしなさい。
  • わからないもの(求めるもの)は x や y とおいて書き込む
  • 塩の量を計算する式を書いておく


C 4 %の食塩水300gから水を x g 蒸発させたら 6%の食塩水になった。

D ある濃度の食塩水 300g に、20gの食塩を加えると 10%の食塩水になった。

答はこちら


●答合わせまで終わりましたか? それでは最後の例題E、Fに移りましょう。




2種類の食塩水を混ぜる パターン

●次の例題は、1年生と2、3年生(連立方程式を習った人)とでは、図の描き方が少し違います。 ただし、2、3年生も1年生用の図の描き方を見た上で、連立用の図の描き方を見てみましょう。

E 10%の食塩水と5%の食塩水を混ぜて、8%の食塩水を600g作りたい。  それぞれの食塩水を何gずつ用意すればよいか?

※ 中学1年用 (1元方程式用)

10%の食塩水を x g とすると、    
5%の食塩水は( 600− x )g だから




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

E 10%の食塩水と5%の食塩水を混ぜて、8%の食塩水を600g作りたい。  それぞれの食塩水を何gずつ用意すればよいか?

※ 中学2年用 (連立方程式用)






食塩水から 一部分を抜き取る パターン
F 10%の食塩水400g がある。 これから xg の食塩水を取りのぞき、 かわりに xg の水を加えると 濃度は6%になった。 






●ではまた、作図練習です。


【練習3】 次のことに注意して、下のE、Fを図にしなさい。
  • 与えられた条件(数字など)は全て書き込む
  • わからないもの(求めるもの)も x、(y)と おいて書き込む
  • 塩の量を計算する式を書いておく


E 8%の食塩水と3%の食塩水を混ぜたら 6%の食塩水500gができた。 (下の注意書きを守って)
  • 1年生は 8%の食塩水を xg として図を描くこと。
  • 2年生は 8%の食塩水を xg、3%のを yg として図を描くこと。
  • 3年以上は 上記2つのパターンを両方とも描いてみること。


F 6%の食塩水 xg がある。 このうち 200g を抜きとり、かわりに 200g の水を加えたら 4%の食塩水になった。

答はこちら


●さて、答合わせまで終わりましたか? これでレッスン2は終わりです。 理解できなかったところはもう一度見直してから、レッスン3に進みましょう。


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レッスン3

絵を見て、式を作ろう!





●レッスン3では、いよいよ式を作る作業をやります。 と言っても実は、 レッスン2までにほとんど式は完成しているのです。 あとは「=(イコール)」をつけるだけなのです。 そのことをこれから説明します。


●「食塩水の問題」を解くとき、一番のポイントになるのは、「食塩の量は同じ」ということです。 つまり、

食塩の量 = 食塩の量

という等式(方程式)を作ればよいのです。 これが、食塩水の問題(基礎編)を解くときの最大のポイントといえます。


●実際の例を見てみましょう。 レッスン2で使った例題のB〜Fを思い出してください。



B 10% の食塩水 200g に水を xg 加えると 4% の食塩水になるという。 x を求めよ。

※図と、食塩の式は下のようなものでしたね。



ここで注意してほしいのは、


  (左のビーカーの食塩の量) = (右のビーカーの食塩の量) 


と言うことです。 (水の量や、濃度は変化していますが、塩の量は同じでしょ?) つまり、式で表すと、
   



これが、Bの方程式です。 この方程式を解くと x = 300
と出てきますから、 答は x = 300 で終わり。 




C 10% の食塩水 200g から水を蒸発させると 12% の食塩水になったという。 蒸発させた水の量を求めよ。  


という問題だったら、 とりあえず x g の水を蒸発させるとして、図は下のようなものでした。


ここでも、 (左の食塩の量) = (右の食塩の量)  ですから、







D 4%の食塩水に 40g の食塩を加えると、 10%の食塩水になった。 もともと4%の食塩水は何gあったのか?  


 4%の食塩水を x g として、


これも同様に 左の食塩 = 右の食塩  だから





これを解いて x = 600     したがって答は、 
4%の食塩水は 600 g ということになります。




 E 10%の食塩水と5%の食塩水を混ぜて、8%の食塩水を600g作りたい。  それぞれの食塩水を何gずつ用意すればよいか?


※これも、図と式は下のようでしたね。

●中1,中3(1元方程式)用





ここでは、

(10%の塩の量) + (5%の塩の量)  =  (8%塩の量)

と考えて、方程式は



これを解くと x = 360 となります。  よって、

 10%のを 360 g,  5%のを (600−360)=240 g

これが答ということになります。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

●中2,中3(連立方程式)用




ここでは、

(10%の塩の量) + (5%の塩の量)  =  (8%塩の量)

と考え、 さらに 

(塩水の量)  +  (塩水の量)  =  (塩水の量)

ということから、次の2つの等式が書けます。



これを連立して解くと x = 360 ,  y = 240  となります。  よって

      10%のを 360 g,  5%のを 240 g

これが答となります。




F 10%の食塩水400g がある。 これから xg の食塩水を取りのぞき、 かわりに xg の水を加えると 濃度は6%になった。



これも同様に  塩の量 = 塩の量  という等式を作れば、方程式の出来上がりです。


●さあ、理解できましたか? ちょっとごちゃごちゃしてきましたが、要するに、
  1. 食塩水の図を描き
  2. 食塩の量を求める式を考え
  3. (塩の量)=(塩の量)となるような式を作る

という手順で、方程式を立てればよいということです。 しかも、覚えなければならないパターンは5つしかありません。 つまり
  • 水を加える
  • 水を蒸発させる
  • 塩を加える
  • 2種類の食塩水を混ぜる
  • 一部分を抜きとる
ということでした。 では、練習問題をやってもらいましょう。


【練習4】 次の文章題は、【練習3】でやってもらった問題のうち、B〜Fを、方程式の文章題としてアレンジしたものです。 あなたのノートに描いてある【練習3】のB〜Fの図を見ながら方程式を立て、計算し、答を出してください。 (ただし、以前にやったとき、図の描き方が間違っていたものは、改めて描き直してください。)


B 4%の食塩水200gに水を加えたら2%の食塩水になった。 何gの水を加えたのか? 水の量を y g として解きなさい。


C 4 %の食塩水300gから水を蒸発させたら 6%の食塩水になった。 蒸発させた水の量を求めよ。


D ある濃度の食塩水 300g に、20gの食塩を加えると 10%の食塩水になった。 初めにあった食塩水の濃度は何%か。



E 8%の食塩水と3%の食塩水を混ぜたら 6%の食塩水500gができた。 それぞれ何 g ずつの食塩水があったのか? (下の注意書きを守って)
  • 1年生は  x の方程式(1元方程式)を立てること
  • 2年生は 連立方程式を立てること
  • 3年以上は 上記2つのパターンを両方とも立てること
F 6%の食塩水がある。 この食塩水から 200g を抜きとり、かわりに 200g の水を加えたら 4%の食塩水になった。6%の食塩水は始め 何g あったのか。

答はこちら



●いかがですか? 方程式を立てる作業はそれほど難しくないでしょ? 図さえ描いてあればね!  つまり文章題を解く作業というのは、式を立てることがメインではなくて、「図を描くことがメイン」だと考えてください。 これは「食塩水の問題」に限ったことではありません。


●さあ、それではレッスン3はこれで終わります。 疲れた人はちょっとお休みを取りましょう。 「まだまだ大丈夫!」という人は、続けてレッスン4に進んでください。

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レッスン4

自分の力で解いてみよう





●いよいよ最後のレッスンになりました。 ここでは自力で問題を解いてもらいます。 繰り返しになりますが、 覚えなければならないパターンはわずか5つでしたね。 総復習の意味で、その5つのパターンの図の描き方と方程式の作り方を、下にまとめておきますから、ざっと目を通して、【練習5】に進んでください。







F 一部分を抜きとるパターン 






【練習5】 次の問題を読み、図を描き、式をたて、計算し、答を出しなさい。

答はこちら


@ 濃度 12% の食塩水に水を 200 g 加えて、8%の食塩水にしたい。 12%の食塩水を何g用意すればよいか?


A 8%の食塩水Aと 15%の食塩水Bを混ぜて、10%の食塩水を700g作りたい。 A,Bをそれぞれ何gずつ混ぜればよいか?


B 8%の食塩水150gがある。 これを熱して水分を蒸発させ、10%の食塩水を作りたい。 水を何g蒸発させればよいか? 


C 銅を含む合金が2種類ある。 Aは90%、Bは60%の銅を含んでいる。 いま、A、Bを解かし合わせて 70%の銅を含む合金を45kg作りたい。 A,B各々何kgずつ溶かせばよいか?

答はこちら



D 濃度5.4%の食塩水に50gの食塩を混ぜると、濃度は14%になった。 5.4%の食塩水はもともと何gあったのか?


E 濃度10%のアルコール水溶液200gが入った容器がある。 この容器から x g だけくみ出して、かわりに 2x g の水をこの容器に加えたところ、6%のアルコール水溶液になった。 xの値を求めよ。 
(ヒント:アルコールを塩の代わりとして沈殿させた図を描く)


F (中2,中3用) A,B2種類の食塩水がある。 Aを200g、Bを400g混ぜると6%の食塩水ができ、 Aを300g、Bを300g混ぜると5%の食塩水ができる。 A,Bの濃度は各々いくらか?

答はこちら



※ 以上の問題が自力で解ければ、公立中学の定期テストと公立高校の入試問題は、ほとんど解けると思います。 但し、中には次の問題のように、やや面倒な問題も存在しますので、安心は禁物ですが、きちっと図を描いて式を立てれば必ず解けますから、余裕のある人はやってみて下さい。


G(愛知県の入試問題)A、B2種類の食塩水が400gずつある。食塩水Aから200g、食塩水Bから100gをとって混ぜたら8%の食塩水ができた。 また、食塩水Bの残りの300gに20gの食塩を混ぜたら、 食塩水Aと同じ濃度になった。 元の食塩水A,Bの濃度はそれぞれ何%か。


H(香川県の入試問題)容器A、Bに、異なる濃度の食塩水が Aには400g、Bには300g入っている。 A,Bからそれぞれ100gずつ取り出し、よく混ぜ合わせると、5%の食塩水になった。 
  次にA,Bに残っている食塩水をすべて混ぜ合わせ、100gだけ水を蒸発させると、 5.5%の食塩水になった。 
   はじめ容器A,Bに入っていた食塩水の濃度をそれぞれ x %、 y % とするとき、 x、y の値を求めよ。

答はこちら





●これで「食塩水の問題の解き方(基礎編)」のレッスンは終わりです。 もうあなたは、教科書と問題集(標準レベル)にのっている「食塩水の問題」はほとんど解けるようになっていると思います。 ウソだと思ったら、実際にやってみて下さい。 


●またこのレッスンでは、「私立高校の入試問題レベル」は説明していませんが、図の描き方や式の作り方は全く同じです。 ただ、図が1段ではなく、2段、3段になったり、式が複雑になったりするだけです。 興味のある人や必要な人はどんどんチャレンジしてみてください。 いずれこのレッスン(基礎編)の続編として「応用編」を作り、そこで説明したいと思っています。

・・・・・・・・   お疲れさまでした   ・・・・・・・・・・
      



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