────────────────────────────────
                ■高校・学力改造講座■         第20回
────────────────────────────────

────────────────────────────────
     英語編     最終回     英語に対する新しい取り組み
────────────────────────────────

●今日は英語編の最終回です。前半の「沈没編」で私がいかにバカだっ
たか、後半の「成功者列伝」で勝者はどれほど努力をしているか、わか
ったと思います。

●これまで、学力改造講座・英語編では高校英語、受験英語についてお
話ししてきました。しかし、英語の勉強法という意味からいうと、日本の
英語教育というのは非常に問題がある、という人もたくさんいます。
つまり

・文法、文法と言い過ぎる
・日本語に訳しすぎる
・発音面がなってない

などです。

私も確かにそのとおりだと思いますし、この文法中心主義、和訳絶対主義
から解放されない限り、日本人が英語をすらすら話したり、聞いたり、読ん
だりと言うことはできないだろうなと思います。英語の勉強を日本語を通し
てやっている限り日本語の勉強にしかならないだろうな、と考えるわけです。

●ところで、世の中にはそのような学校英語に反旗を翻している英語の
先生も少なからずいるようです。たとえば最近私が読んだ本には、次の
ようなことを実践している大学の先生がいらっしゃいました。

----------------------------------------------------------------

・辞書は使わない
・日本語に訳さない
・知らない単語はとばして読む

ということを大前提にして

・幼児用の簡単な絵本から読み始める
・簡単な絵本を何冊か読んだら、ちょっと難しめの絵本を読む
・絵本を何十冊か読んだら、簡単な童話を読みはじめる
・・・・・

という具合に、英語国民が小さい頃からやっているのと同じ方法で、一切
日本語を使わずに、ひたすら英語の本を読んでいく。それも「読む訓練を
する」という悲壮な感覚でやるのではなく、楽しいから読む、楽しいものだけ
読む、わからない部分があってもおもしろければいい、・・・という感覚で
読むのだそうです。すると数ヶ月で、ちょっとした小説くらいは楽しみながら
読んでいる状態になる。わからない部分もあるけれども、わかる部分だけ
でも結構おもしろいから続けられる。・・・・

----------------------------------------------------------------

●このような方法なのです。とってもシンプルで、もしこれが日本の中学1年
から導入されたら、高校3年までの6年間でかなりのレベルの英語を読める
ようになるのではないかと思いますが、・・・・ただ、残念ながら、日本の英語
教育界はそこまで新しい方法をすぐに取り入れるような環境にはなっていま
せん。接続詞 before、や after の考え方一つにしても、和訳中心の考え方
を生徒に教えています。たとえば

 Tom came home [before] Mary called him.

という英文の意味は

 メアリーが(彼に)電話する[前に]、トムは帰宅した。

というように後ろから訳さないと、「正しい日本語訳」としては認められませ
ん。しかし私たちは英語を勉強しているわけであって、「訳し方」を勉強して
いるわけではありません。「正しい日本語」を勉強しているわけでもありま
せん。ですから、もし

 「Tom がcame home した。Mary が called him する前に。」

と書いても○(マル)。

 「Tom が came home した。何の前かというと Mary が called him
 の前に。」

とか

「Tom が came home した。そのあと Mary が called した、him に」

と書いても○、という具合であれば、英語を読んだ語順のまま頭に入れ
ていくことが出来ます。そうすれば、初めは日本語の助けを借りていて
も、そのうち英語の語順で英語だけで理解できる頭になるのではないで
しょうか。

もう一つ例を挙げましょう。

次の状況を把握しなさい(内容を理解しなさい)という問があったとし
ます。

 The woman whose car I saw at the gate of the college was
 carrying a big box which was covered with red paper .

どうしても日本語を通して読む癖がついている人は、「さて、どこから
訳そうか」となりますよね。その時点で英語モードを離れて日本語モー
ドになっています。

それを、下の@やAのように英語の語順通りに考えてもOKとなったら、
英語を読むのがどんなに楽に、速くなるでしょう。

@女の人がいて(その人の車を私が見たのよ、門の所で、大学のね)
[でその人は] 運んでたのよ、大きな箱を(それは覆われてたの、赤い
紙で)

少し日本語から離れて

A The woman がいて(その人のcar を I saw、gateで、college の)
[で、その人が] was carrying していたんだ、a big box を、(それ
は was covered されてたんだ、red papaerで)

これだけで十分内容は理解できるはずです。そうすれば、だんだんと日
本語を使わなくても下のBのようにちょっと手を加えるだけで内容が理
解できるようになるでしょう。

B The woman (whose car I saw at the gate of the college) was
carrying a big box (which was covered with red paper) .

そして、最後には( )をつけなくても(カッコは目でつけながら)英
文のまま内容を理解できるようになると思います。

この場合必要なのは、どこから訳せば正確な日本語になるかという日本
語の能力ではなく、語彙力と、( )をつける能力(英文読解能力)だけです。

●しかし、このような「返り読みをしない教育法」への転換はしばらくは
実現しないでしょう。この「返り読み」をやっている限り、日本の高校生は
英語を英語としてとらえられず、いつまでたっても日本語を介してしか読
めない、ということになります。

●残念ながら、このメルマガを読んでいる高校生が受験勉強をする過程
では、まだまだ、文法の穴埋めをやらされ、和訳をさせられることでしょう。
ですから上に書いたことは、単なる愚痴にしか過ぎないのですが、少なく
とも今の学校英語は、そのような問題を抱えているのだと言うことを知って、
あなた達が本格的に英語を学ぶ機会があったら、決して日本語を通して内
容を理解するという愚を繰り返さないようにして下さい。また日頃の勉強の
時も出来るだけ日本語に訳さず、英語の語順のまま内容をとらえる訓練を
していきましょう。(但し、繰り返しになりますが、そのためにはある程度の
語彙力と英文読解力が必要です。)


●ところで、高校までの英語教育は、以上のようにいろいろ問題があるの
ですが、大学の入試問題は少し先を行っているようにも思えます。 英語
問題の「長文化傾向」がそれを物語っています。私自身が受験した頃に
比べると最近の英語は長文化が激しいのですが、それはとりもなおさず、
「いちいち日本語に訳しているような、のろまな生徒はうちの大学には 
いらないよ!」ということを物語っていると言えないでしょうか? そのような
ことを頭に入れたうえで、より多くの英文を読んでいくよう努力してください。

----------------------------------------------------------------
<塾長ご挨拶>

長らくおつき合い頂き有難うございました。少しはお役に立てたでしょうか?
勉強法というのは最終的には自分で確立するしかないのですが、いろいろ
試行錯誤する暇は皆さんにはありません。また、先輩が失敗した方法をまた
わざわざやって失敗する必要もありません。そのような観点から少しでも
お役に立てたら幸いです。

 今回をもって「高校・学力改造講座」は終わりますが、皆さんの学力
 改造はこれから始まります。目標を高く持って、日々の努力を惜しま
 ず、学業に励んでください。

 わたしはいつでもHPの向こうにいますから、ご質問があればいつで
 もどうぞ。


また、会員になられた方とはこれからもしばらくおつき合いが続くと思
います。よろしくお願いしますね。(出来る限りわかりやすい解説を送
りますから。)




Copyright (C) ARAKI,Shin-ichi All Rights Reserved



※このページを閉じるときは「閉じるマーク(×)」をクリックしてください。