───────────────────────────── ■高校・学力改造講座■ 第14回 ───────────────────────────── ───────────────────────────── 英語 沈没編 第4回 英文読解(前編) ───────────────────────────── ●今回は英文読解のお話をします。英文読解といっても、「和訳の練習」 のことではありません。「構文分析の練習」のことです。英文をS、V、 O、C、(M) に分ける作業のことです。例えば、 Strange to say, technology, although of course the product of man, tends to develop by its own laws and principles, and these are very different from those of human nature or of living nature in general. (岡山大) という英文があったとして、これを下のように分析していく作業ですね。 ---------------------------------------------------------- Strange to say, technology, although of course the product MV S MS of man, tends to develop by its own laws <and> principles, V MV M <and> these are very different from those of human nature S' V' C' MC' MP1 <or> of living nature in general. MP2 MC' these = its own laws and principles those = (the) laws and principles ---------------------------------------------------------- ●高校1,2年でいきなり入試レベルの英文を分析するのは愚かなことですが、簡単な文から少しずつ難しい文へとレベルをあげていく作業が高校では必要だと思います。しかもこれを一定期間継続して練習することが重要です。 ●ただ、いつもこうやって英語を読めと言っているわけではありません。高校3年間のうち 3〜6ヶ月だけ、集中的に構文をじっくり分析する期間を自分で設けなさいといっているのです。そうすると、後々の勉強が非常にやりやすくなります。 ●トップレベルの進学校に通い、トップレベルの大学をめざしている高校生はやっている人もいるかもしれませんが、英語が苦手という高校生が大抵おろそかにしているのが、この「構文分析の練習」です。おろそかどころか全くやってない人、果ては構文分析そのものを知らない生徒も大勢います。私は、「構文分析」を知ってはいたものの、その重要性には全く気づいていませんでした。従って、継続的に練習するということは全くやりませんでした。これが悲劇の始まりだったのです。しかし今から思うと、高校の英語の勉強は、この構文分析を大きな柱としてやっていればどれほどその後の勉強がスムースにいったことだろうと、後悔しています。 繰り返しになりますが、高校3年間のうち少なくとも3ヶ月〜半年は「構文分析」の練習を集中的にやることを勧めます。 ●私の塾に入ってくる高校生も、構文分析の練習は未経験の生徒がほとんどです。学校では高校1年の1学期に簡単な5文型の分析をさせるだけで、継続的に分析の練習をやらせるところは少ないようです。(私の高校もそうでした。)ですから何のためにSVOCを高1の1学期にやるのか、わかっている人は少ないようです。高1の1学期にやるのは、最も重要だから、それが英語理解の基礎の基礎だからです。 ●そこの所をちゃんと指導し、継続して練習させる学校は少ないようです。ですから学校に頼らず、自分で練習する以外にないわけですが、慣れないとなかなか抵抗があるかもしれません。その心理を分析すると、
あたりになるのでしょうか。私は「(2)構文分析なんかしなくても、英文の意味さえ分かれば良い」と信じて疑いませんでした。しかし現実は違いました。構文がわからないからこそ英文の意味が分からないのでした。なぜなら、難しい英文に出会ったとき、それを読み解く手段がないのですから。そのことがわかっていなかった私はやはり「バカ」だったのでしょう。 ●実際に構文が分かるのと分からないのとでは、天国と地獄ほどの差がでてくるのです。例えば、
そして、最大の効果は
●このように、大学受験の英語では、構文がわかる人と、そうでない人とは、決して同じ土俵では戦えないようになっています。いろいろな状況で反応がどう違うか比較してみると、 構文がわからない人を × 構文をわかる人を ◎ で表わすとすると、 ■動詞の意味を調べるとき × 意味を覚えたら終わり。自動詞か他動詞かは気にならない。 ◎ 意味だけでなく、自動詞か他動詞か、どの文型を作るか重視する ■解説を読んでいるとき × 名詞節だ、形容詞句だ、とか言われると、無視して先に進む ◎ 名詞節はS、V、O、C、Mのどれになれるか分かっている。 ■the hotel ( )he … の( )に入る関係詞は?、 といわれたとき × the hotel と he …に着目し、hotel が「場所」なら where, 「物」なら which と答える → ときどき「場所」か「物」かわからなくなる。 → ときどき自分の答が×になるが理由が分からない。 ◎ 決め手は he …の部分の構文(特に動詞)だと分かっている。 where か which か in which かで迷うことはない。 ●これらの反応の違いは、問題が難しくなればなるほど点数の違いとなってはっきり表れます。試しに次の問題をやってみて下さい。(なぜその答になるかを自問自答して下さい。)高1はまだ習ってないかも知れませんが、関係副詞の基礎知識です。 【問題】次の( )に which, where のうち適当な方を入れなさい。 (スクロールしすぎると答が見えてしまいますよ!) @ I know the hotel ( ) he visited yesterday. A I know the hotel ( ) he stayed yesterday. B I know the house ( ) he has lived for a long time. C I know the house ( ) he has lived in for a long time. D I know the bridge ( ) you saw Tom. E I know the bridge ( ) you saw in the city. ---------------------------------------------------------- 答 @ which A where B where C which D where E which 解説 @とA をまず考えます。ポイントは 後ろの動詞 visit と stay それも、「日本語の意味が〜だから」ということで考えるのではありません。visit は他動詞、stay は自動詞 という部分が決め手になるのです。 visit は他動詞で、目的語(名詞)が必要 visit + 目的語(名詞) visit Nara, visit my uncle など stay は自動詞で、目的語(名詞)は不要 だが 場所を表す副詞を伴うことが多い stay + 副詞(場所)、 stay + 前置詞+場所 ↓ ↓ stay here , stay in the house, ───────────────────────────── そこで問題文ですが、 @ I know the hotel ( ) he visited [yesterday]. A I know the hotel ( ) he stayed [yesterday]. 最後のyesterday は「時」を表す副詞ですからカットして考えると @ I know the hotel ( ) he visited . A I know the hotel ( ) he stayed . @はvisit の後ろに 目的語(名詞)が必要なのに ない!となると もともと the hotel が目的語としてそこにあったのだろうと考えられます。 he visited (the hotel) そのthe hotel が関係詞として、前の( )に出て行ったのだろうと考えられます。すると名詞が出て行っているわけですから 関係「代名詞」が適切、つまり which かな、ということになります。つまり which = the hotel です。 A I know the hotel ( ) he stayed Aはstay のうしろに目的語(名詞)は不要(あってはならない)ですが、後ろに何かあったとすれば、場所を表す副詞(here, there など) か副詞句 (in the hotel, near the park,など) だということになります。ここではthe hotel が絡んでますから、おそらく he stayed ( in the hotel ) だったのだろう、と考えられます。in the hotel は 副詞句ですから、これが関係詞として前の( )に入るとすれば、関係「副詞」のはず、つまり where ということになります。(in the hotel = where ) ※ これは where のかわりに in which とやってもOKです。 in the hotel = in which = where ※もし which をいれるとどうなるかというと A I know the hotel ( which ) he stayed これは stayed の後ろに名詞(目的語)があったことになり(stayed the hotel)、stay が自動詞であることと矛盾します。 ということで @ I know the hotel ( which ) he visited yesterday. A I know the hotel ( where ) he stayed yesterday. たった2問の穴埋めを解説するのに、これだけの解説スペースと時間を取ってしまいます。しかし、最初から分かっている人は2,3秒のうちに visit と stay の部分を読み取って正解を導き出します。 ●「構文分析力」がついてくると、このような穴埋めや、英作文が格段にやりやすくなるのは事実です。 ●こんな穴埋め問題を出来るようになっても、英語のコミュニケーションにはあまり役立たないようにも思います。しかし現実問題として、高校ではのようなことを教え、試験に出されます。受験用の穴埋め問題もなくなる気配はありません(比率は減っているようですが)。 ですから、高校3年間のある時期に3〜6ヶ月構文だけを集中して勉強する期間を設けても決して損はしないと思います。(1年生の終わり頃〜3年の初めまでがよいとおもいます。) ●今日は「構文分析」の練習は大事だよ、ということをお話ししました。 ※「おいおい、B〜Eの解説はどうした!?」という人のために一応解説を書いておきます。興味のある人は読んでください。 解説) BとCについては、 B I know the house ( ) he has lived for a long time. C I know the house ( ) he has lived in for a long time. まず「時」のfor a long time を無視しますと B I know the house ( ) he has lived . C I know the house ( ) he has lived in . ここで live という動詞は 自動詞で目的語(名詞)は不要 「どこどこに住む」というときは live there とか live in the house のように live + 場所の副詞 か live + 場所の副詞句 の形になります。 つまり、もともと he has lived [in the hotel] だったと考えられます。ということは 問題文で B I know the house ( ) he has lived (in the hotel). C I know the house ( ) he has lived in (the hotel). Bでは そのうち in the hotel が全てなくなっていますから 副詞(句)がなくなっています。 つまり( )には副詞が出て行った→where Cでは in the hotel のうち the hotel という「名詞」だけがなくなっていますから、 ( )は 名詞が出て行った → 関係代名詞 which 解説) DとEについて D I know the bridge ( ) you saw Tom. E I know the bridge ( ) you saw in the city. see (saw) は他動詞で 後ろに目的語(名詞)が必要。 DはTomという名詞があるので、もともとの文は you saw Tom at the bridge とか you saw Tom on the bridge だったと考えられる。 つまり、トムと橋の所で会った。という意味 よって( )には場所の副詞句が入るので where Eは saw の後に目的語がない! ( in the city は副詞句 ) よってもともとの文は you saw (the bridge) in the city [ あなたはその町で、橋を見た ] よって、the bridge (名詞)がなくなっているので ( )は which |
Copyright (C) ARAKI,Shin-ichi All Rights Reserved |