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          ■高校・学力改造講座■      第8回
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数学・受験編 (どうすれば苦手意識をなくせるか:塾長の体験から)
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◆今回からは、受験で数学が必要な人へのアドバイスです。

◆数学に限ったことではありませんが、教科書で習う内容と、大学入試に出てくる問題では、レベルの点で天地の開きがあります。教科書の問題を100%解けても入試問題はほとんど解けない、というのが現実です。ここでは中間・期末テストを解くレベルから、入試問題を解くレベルまで実力をアップさせる方法を私の体験に沿って、お話ししたいと思います。

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 受験編 第1回  突破口を探せ!(得意なジャンルを1つ作ろう)
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Q.苦手な数学を克服する第一歩は?

A.得意なジャンルを まず1つ作りなさい。


●いくら高校の数学が覚えることが多いと言っても、「ベクトル」なら「ベクトル」というジャンルに絞れば、覚えなければならないことは限られています。そのことを利用して、あなたの数学のレベルをアップさせる方法をお話しします。


●これからお話しするのは、私が現役の頃実際にやった方法です。もしあなたが数学を勉強している割に、数学が苦手という人ならば適していると思います(特に2年生以上)。まず「2次関数」でも「ベクトル」でも「数列」でも何でもいいですから、自分が比較的得意なジャンルを1つ選んで下さい。そしてそれを徹底的に勉強するのです。

@ まず、比較的易しい問題集を買います。50%くらいは自力で解けるものがよいでしょう。そして、易しい入試問題が含まれているものがよいでしょう。(ただし格闘編で述べたように、別冊解答が詳しいものに限ります。)

A 次に、自分が得意なジャンルとして選んだ分野、例えば「ベクトル」なら「ベクトル」の分野の問題を、全問解けるようになるまで、徹底的に繰り返し繰り返し解きます。(この時参考書が必要ならば大いに活用しましょう。) そしてほぼ全問(90%くらい)解けるようになったら…

B 今度はレベルアップした問題集を買ってきて下さい。例えば、中堅レベルの大学の入試問題を含む問題集で、別冊解答が詳しいものです。そして、その問題集で、また同じ「ベクトル」の問題を同じように徹底的に解いていきます。

●このようにすると、こと「ベクトル」に関しては、どんな問題が出てきても何とか解ける自信がついてきます。

注)決して、いきなり難しい問題集に取り組むことだけは避けて下さい。


●ここまで来ればもうしめたもの。仮に自分には解けないベクトルの問題が出てきても、今までのように「いやだなあ、出来れば解きたくないなあ」という消極的な気持ちは起こらなくなり、代わりに「これはどうやって解くのだろう、何とか解けるようになりたい」という積極的な気持ちになるものです。そうすれば、どんなに難しい問題に出会っても、どんどんその解き方を吸収して、さらなるレベルアップが自然と出来るうになります。


●さてこの段階で模擬試験を受けたらどうなると思いますか…?不思議なことに、徹底的にやったジャンルの問題だけ、やたら親しみ深く見えるのです。そして問題の方から「ほーらボクは簡単そうだろ?解かなきゃ損だよ!」と手招きして来ます。本当です。


●この頃にはあなたは、「ベクトル」に関する限りクラスのトップレベルにあると言えます。「ベクトル」のことなら何でも聞いてくれ!というレベルです。


●次にあなたがやることは……もうおわかりですよね!「ベクトル」以外の新たなジャンルに挑戦し、それを征服するのです。そうやって次々に自分の得意ジャンルを増やしていけば、必ずクラスのトップレベルの仲間入りができ、数学が得点源となるはずです。


●ホントにそーんなうまくいくのー?と思う人もいるかも知れませんが、少なくとも私は、この方法で数学の苦手意識を克服できました。私の場合、突破口になった最初のジャンルは「空間図形」でした。(今ではあまり大きなジャンルではありませんが、私の頃は結構出題されていました。)「空間図形」で自信をつけた後、「微分・積分(数Uレベル)」に全力を注いだら、グラフが書けるようになり、それと共に数学に対する恐怖心がなくなりました。そこから徐々に不得意分野に進出していったのです。(ちなみに「ベクトル」は不得意分野でしたが、最後には大好きな分野になりました。)




(参考)「2次関数」というジャンルに限ってみれば、私の塾で使っている問題集では約100問あり(教科書レベル〜入試レベル)、それを生徒には繰り返し解くように指導しています。この100問を自力で完璧に解けるようになると、新しい問題に出会っても、何とか自分で解決の糸口を見付ける知識と経験を身に付けられると私は考えています。


(参考2) 「どの分野から手を付けたらいいか分からない」という人は、必ず「2次関数」から始めましょう。 2次関数は高校数学の血液みたいなものです。 この2次関数が完璧でないと他の分野をどんなに頑張っても限界があります。 たとえば
  • 三角関数でも 場合によっては2次関数に置き換えて解く
  • ベクトル、複素数、指数・対数関数でも 2次関数をよく使う
  • 微分・積分は2次関数なしでは語れない
  • 確率は例外的に、2次関数を使う場面が少ない。でもゼロではない。
という具合です。 ですから、2次関数を完璧にした後、自分と相性のいい分野に進出するのが得策と言えます。


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【付録】基本的なことなのに、知らない人もいますのでひとこと。模擬試験も入試も、数学は自信のある問題から先に解いていくというのが鉄則ですよ。問題番号の順に解くものではありませんからね!例えば

大問1 2次関数
大問2 ベクトル
大問3 三角関数
大問4 確率
大問5 数列

と並んでたら、まず最も得意な「ベクトル」、次に得意な「2次関数」、あやふやな「確率」「数列」は部分点ねらい、三角関数は全く自信がないので解かない。(もちろん問題を読んで解けるときは別です。)というように作戦を立ててから臨むのです。どのみち普通の受験生の実力で時間内に全問解けることは滅多にありませんから、自信のあるもので点数を稼ぎ、成功体験を重ねながら次の問題を考える、というのがコツです。そのためにも誰にも負けない得意分野を作っておくのです。(ン?そんなの、あんたに言われなくてもわかってる?…よしよし)

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