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          ■高校・学力改造講座■      第7回
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            数学 格闘編    格闘編のまとめ
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●第1回から第6回まで、非常に抽象的なことばかり言ってきました。皆さんからも「そんなお題目はいいから、どの問題集をやればいいのか教えてよ!」とか「確率を解くコツを教えてほしいんだけど…」とか聞こえてきそうです。確かに具体性のない提案は何の役にも立ちません。心構えだけ説いても、人はなかなか実行には移せないものです。そこで今回は、出来るだけ具体的なお話をしてみたいと思います。しかし、「心構え」も大切ですから、これまでの復習のつもりで、数学を勉強する心構えをもう一度確認しておきましょう。(「しつこいね、あんたも!」といわないでください。私は第1回目でも言ったでしょ、繰り返し復習することが大切だって!「心構え」も復習しましょうよ、ね?)

●数学を勉強するときの心構え

(1)数学は暗記教科のつもりで、復習を繰り返すんだよ。
(2)答をみることは、悪いことではないんだよ。
(3)他人を頼っていては実力はつかないよ。
(4)何かを犠牲にしてでも、勉強時間を増やすんだよ。
(5)問題集・参考書は易しいものを徹底的にやるんだよ。
(6)問題集は1冊にしぼって、繰り返し解くんだよ。
(付録)グラフ・図・数値代入を避けたらダメだよ!

ということでした。

●さてそこで、少しだけ具体的な提案をします。日頃どう勉強するのか
(高1,高2の時にやってもらいたいこと)です。

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(1)予習をすること(ガイドを使っても構いません)
(2)テスト勉強は最低2週間前からやること
(3)自分用の問題集と参考書を1冊ずつ買うこと
(4)おなじ問題を、繰り返し解くこと
(5)テストが終わっても、忘れかけた頃に復習をすること
  (予習以上に大事です。)
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●さらに少し具体的に、本屋さんで問題集を選ぶコツ
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(1)自力で解ける問題が50%、ヒントや解説を見ればわかる問題が30%、くらいあるものを目安として。

(2)別冊解答が分厚いもの。 問題集本体と同じくらい厚いものの方がよい。(解説が簡単なものは使い物になりません。)

ちなみに、私の塾で使っている(いた)問題集は、
   (問題60ページ)+(解説64ページ) とか、
   (問題80ページ)+(解説110ページ)
となっています。


注1)学校から配布される問題集は、上の(1)、(2)の条件が欠けていることが多いので、いくらやっても実力がつかない人が多いのです。薄くてもいいですから、自分専用の(解説が親切で詳しい)問題集を買うことをすすめます。

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●最後に非常に具体的なお話。私がお勧めする参考書です。

まず断っておきますが、全ての人に効果的な参考書・問題集というのは存在しません。私がお勧めするのは、日頃比較的よく数学を勉強している「つもり」だけれども、どうも数学がわかりにくくて困る、というレベルの人に役立つものです。

  ■■文英堂 理解しやすい数学T、A、U、B、V、C■■

です。(Tだけとか、T+Aとかいろいろバージョンがありますが、中身は同じですから、必要なものを買えばいいと思います。)(黄色いカバーが目印です。)

※私が勧める理由:これまで見てきたなかで、一番生徒のためを考えた、親切な参考書です。ひとりで勉強しててもわかるように書いてありますから、教科書よりもわかりやすく予習・復習が出来ます。

※この文英堂の「理解しやすい」シリーズは数学だけではなく、物理、化学、生物、地学など理数系の科目は全てお勧めです。理論面の解説は全てよくできています。(よくできているというのは、初心者にわかりやすく書いてあるという意味です。)

たとえば物理。私の塾の生徒にも使わせていますが、「教科書読むよりわかりやすい」と生徒は必ず言います。(ただし、計算問題は載ってませんので、別の書物が必要です…ついでに言うと、物理化学の計算問題の解き方で私がお薦めできるのは、同じ文英堂の「物理計算の考え方解き方」「化学計算の考え方解き方」です。ただし、あくまで私にとってはよかったものですから、「これは簡単すぎる」という人もいれば「難しすぎる」という人もいると思います。)

※ものはついでですから、この文英堂の「○○計算の考え方解き方」がどの位私にとってよかったかをお話ししましょう。(ちょっとした自慢話でもあるのです)

●私は高校2年の時に「物理」をやりました。中間試験の時、学校から渡された問題集を中心に、かなり勉強したつもりでした。ところが結果は100満点で21点!ガーン!(平均点は忘れましたが40〜50位でしたか?) 「それは単におまえの頭が悪いからよ!」とか言わないでください。それでは話が先に進みませんから。 私は悩みました。そして本屋に行くと物理の参考書、問題集を見て回りました。その時たまたま見付けたのが「物理計算の考え方解き方」だったのです。例題の解説が分かりやすく、練習問題の解答(解説)も例題なみに手抜きをせずに詳しく書いてあったので、参考書と問題集を一緒にしたような、非常にやりやすいものでした。この本を中心に勉強した結果、、、、期末試験では100点満点で85点(クラス2位)まで上昇しました。ン十年たった今でもその時の点数を覚えているくらいですから、私にとっては衝撃的だったのです。文英堂とのおつき合いはその時に始まります。但し、しつこいようですが、私がよかったからあなたにもいいかどうかは分かりません。あなたにベストの参考書はあなたでなければ見付けられません。それを肝に銘じておいてください。私がここで言いたいのは、自分にあった参考書を見付けられればかなりのことが出来る、ということです。


●ちょっと横道にそれてしまいましたが、数学の学力改造は、自分にあった問題集を、自分にあった参考書を見ながら、自分の時間とエネルギーを使って繰り返し解く、という作業のかなたに、見えてくるものです。


補足)「おいおい、問題集のお勧めはないのか!」といわれると正直困ります。というのは、以前使っていた ほどよいレベルの問題集が絶版になっているためです。(うちの生徒には、昔の問題集のコピーを渡しています。著作権侵害ですが、しかたありません。)というわけで、お薦めできる問題集はありませんが、私個人は「旺文社」の問題集は比較的解説がわかりやすいという印象を持っています。逆に「数研出版」のものは、「わかる人にしかわからない解説」つまりは、初心者には不向きだというのが正直な印象です。もし、参考書も問題集も「数研出版」で固めている人がいたら、ちょっと他の出版社の本をのぞいてみることをお勧めします。



※次回からは「受験編」(全3回)です。






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