─────────────────────────────
          ■高校・学力改造講座■     第6回
─────────────────────────────

─────────────────────────────
 数学・格闘編  第6回   運命の出会い
─────────────────────────────


●苦手意識を持っている教科を得点源にするには、大いなる努力が必要なわけですが、成功の鍵を握るのは、自分にあった教材(参考書、問題集)との出会いです。数学の場合も例外ではありません。


●今回は私の個人的なお話をします。 


●私が通った高校は、九州のとある公立の進学校です。 九州の受験生なら大抵知ってる高校です。そこは数学にものすごいエネルギーを投入する高校でした。 当然周りには数学が得意だという友人がウヨウヨいました。 そのウヨウヨ組はやれ「Z会」だ、やれ「大学への数学」だ、やれ「○○ゼミナール」だとレベルアップに余念がありません。 私もまねして「Z会」の会員になり、「大学への数学」を購読し、「○○ゼミナール」に通いましたが・・・・なーんにもなりませんでした。 勉強している割に、実力が付いているという実感が全くありませんでした。(定期試験ではまずまずの点数でしたが、模擬試験などは不満足なものばかりでした。というより悲惨なものでした。)


●転機が訪れたのは高3の夏休み。1学期の終わりに学校から1冊の問題集が渡されました。それまで学校で使っていた「数研出版」のものではなく、どこかマイナーな会社の問題集でした。レベル的には、全体の問題のうち50%は自分で解ける・・・・30%はヒントを見ながらなら何とか解ける・・・・残り20%は今の実力では難しい・・・・というものでした。(今で言う数TAUBの範囲で400問位ありました。) 私にとってはどちらかというと易しく感じる、非常に取り組みやすいレベルでした。おまけに、別冊解答がわかりやすかったのが幸いしました。(数研出版のは解説が不親切でわかりにくいのです。要するに「数学が得意な人にしか分からない解説」とでも言いましょうか・・・)
 
 
●私は夏休みをその新しい問題集1冊にかけました。朝から寝るまでその問題集を解き続けたのです。(当然、他の教科は犠牲になりましたが・・・) 夏休みが終わり、自力で解ける問題の数が90%を越えた頃、 目の前の霧がすーと晴れていくような気になりました。「高校の数学って、こういうものだったんだ」という実感がわきました。それ以降は、ウヨウヨ組の話も理解でき、彼らが解けない問題を解くことも可能になったのです。


●私にとってこの問題集との出会いはラッキーでした。これがなければ、数学は苦手意識を持ったまま、どうすればできるようになるのかわからないまま高校を卒業してしまっていたことでしょう。


●以上が私の数学体験です。私の体験談からあなたは何を感じ、何を学び取るでしょうか?・・・・




【付録】 私は前述したように高校時代、「○○ゼミナール」という数学の塾に通っていましたが、あまり効果はありませんでした。やっていることのレベルが自分より高かったのがひとつの原因です。では他の生徒はその高いレベルの内容を理解していたのでしょうか? 一部の生徒は確かに分かっていたようですが、その他大勢はやはり、あまり意味のない時間を過ごしていたような気がします。塾の教室で先生の話を聞いていたからといって自分の実力がつくわけではないのです。

ところであまり効果のなかった塾通いでしたが、一つだけ貴重なものを得ました。それは先生のある一言です。「数学は自分のレベルまで下げて解くんだよ。難しく見える問題をいかにして自分のわかるレベルまで下げて解けるかが勝負なんだ!」確か、そんな言葉だったと思います。みなさん、この意味がわかりますか。この意味が実感としてわかるようになった頃、みなさんの数学のレベルはかなりのものになっていますよ。


【付録2】 問題を解くとき、面倒なことを避けてはいけません。面倒なことというのは「グラフを描くこと」「図を描くこと」「具体的な値を考えてみること」などです。特に問題を読みながらグラフや図を描く癖をつけて下さい。そうすると、読み終わったときには、ある程度のヒントが思い浮かび、答案を描くときの間違いや、計算ミスを未然に防いでくれます。これらのことを面倒くさがらずにやれるようになったとき、あなたの数学力はスタートラインから、一歩踏み出したと言えるでしょう。この「グラフを描くこと」「図を描くこと」「具体的な値を考えてみること」こそ、付録1でお話しした「自分のレベルまで下げて解く(考える)」ということの第1段階なのです。

たとえば、2次関数の問題を解くときに、答案に2次関数のグラフを1つも描かないですませられるとは決して思わないでください。凡人は問題文からではなく、グラフからヒントを得るのです。

※以前訪問したことのある「物理のサイト」でも、管理人さんが、物理の勉強法を説明するのに同じようなことを言ってらっしゃいました。曰く「物理が得意な人というのは、たくさん図を描いた人のことです。…」これは数学にも言えることです。






Copyright (C) ARAKI,Shin-ichi All Rights Reserved




※このページを閉じるときは「閉じるマーク(×)」をクリックしてください。