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          ■高校・学力改造講座■         第5回
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 数学・格闘編 第5回  勉強時間を増やせば、点数がとれるの?
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◆今回は、時間をかけて数学を勉強しているのに、結果がついてこない場合について考えてみます。



Q.勉強時間を増やせば、点数がとれるの?

A.必要条件ではありますが、十分条件ではありません。

  
●数学的に書くとこのようになりますが、数学苦手人間もいるかも知れませんので、普通に日本語で書くと・・・

  点数を増やすためには 勉強時間を増やす必要がある。…でも

  勉強時間を増やしたからといって 点数が増えるとは限らない。

つまり、努力の方向を間違わないことが重要なのです。 まじめな生徒さんほど陥りやすい罠ですので、そのことについて次の2つのQ&Aで考えたいと思います。


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Q.入試問題を解く練習をすれば、入試問題を解けるようになるの?

A.なりません。 

●難しい問題を解くには、易しい問題が完璧に解けないとだめだからです。 そもそも入試問題はいくつかの基礎知識を組み合わせて解かせるものが多いのです。だから、高校1,2年の段階では入試問題を解くことよりも、基礎知識を完全にすることの方を優先すべきです。


●そういう意味で(数学が超得意、という人をのぞけば、) 高1,高2の段階でいくら入試問題を解いても実力には結びつかないと思います。
見よう見まねで 何問か 入試問題が解けたからといってそれで実力アップは図れません。例えば次のようなレベル配置だったとします。

レベル1 教科書レベル(あなたの今のレベル)
レベル2 標準問題集レベル(あなたの今のレベル)
レベル3 無名の大学の入試問題レベル
レベル4 センター試験の入試問題レベル
レベル5 有名大の入試問題レベル

レベル1,2の人がレベル5の問題を、必死に勉強してもレベル4の問題を解けるようにはなりません。 必ず1,2,3,4,とステップアップするべきです。それは、たとえて言うとこんな具合なのです。

受験生が覚えなければならない基礎知識が10個あったとしましょう。それらを、A,B,C,D,E,F,G,H,I,J とします。 
  • レベル2は、 AやBを「単独で」使って解く練習です。
  • レベル3は、 {AとB}とか{DとH}とか組み合わせて解く練習。
  • レベル5は、 {A,C,F、J}とか{D、E,G,J}とかの組み合わせで解く問題

そんな感じです。

ですから、基礎があやふやな人が、{A,B,F,G}と{B,C,G,H}の入試問題をたまたま解けたからといって、{A,B,D,E}の問題は解けないのです。D,Eがあやふやなままでは・・・・わかりますよね。

ですから、高校2年までの勉強は難しい入試問題を解く練習ではなく、必要とされる基礎知識(A,B,C・・・H,I,J)をいつでも頭の引き出しから取り出せる状態にすることが大切なのです。


●そのためには、自分が自力で解ける問題から出発して、自分にもよくわかる解説(つまり易しいレベルの解説)を参考にしながら、自分で解ける問題を増やしていくことが必要です。 その「成功体験」の積み重ねが数学を克服し、入試問題までたどり着く近道なのです。(近道といってもはるか遠い道のりなのですが・・・)

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Q.数学が得意な人が使っている参考書や問題集をやった方がいいの?

A.無駄でしょう。


●数学が得意な友達が「○○」という参考書を使っているからといって、それをあなたが使っても、難しいばかりで実力養成にはつながらないでしょう。


●レベルの高い進学校であればあるほど、生徒たちは難しい参考書、難しい問題集を使いたがる傾向があります。 学校自体がそういう傾向にあります。 しかし私に言わせれば、百害あって一利なしです。 参考書にしろ、問題集にしろ、「自分の今のレベルから出発する」というのが鉄則です。 むしろ、易しめのものから始めるのがよいといえます。


●恐いのはあなたの「うぬぼれ」から来る「誤解」です。レベルの高い進学校に通っている人はどうしても次のように考えがちです。 「地域でトップレベルの高校に通っているんだから、レベルの高い(難しい)問題集・参考書を使うべきだろう…」 これはとんでもない誤解なのです。何度でも言いますが、問題集・参考書は「自分の今のレベルから出発する」という鉄則を必ず守ってください。自分のレベルというのは「少し易しいかな」と思うレベルです。


●ところで、あなたの参考書、問題集はあなたが本屋さんに行って選ぶしかありません。本屋さんでは、自分には少し簡単すぎるかな、と思うレベルのものから、ちょっとだけ難しいかなと思うレベルのものまでを(捨てる覚悟で)3,4冊購入し、家で実際に使ってみて、自分に最も適したものを1冊残す。そして、これと決めたら徹底的にその1冊だけをマスターする、 というのがベストです。(本の代金なんて、塾や予備校の月謝に比べたらたかがしれてますから、そこでケチらないように)


(原則)
他人の使っている参考書、問題集はあてにならない。

(対策)
自分にとって、少し簡単なレベルの参考書、問題集を1冊だけ徹底的にマスターするのが、克服の第一歩。





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